実際の出来事を各種架空名称に置き換えて一応時系列で進めて行きます/途中から読む人は内容が判らないと思いますので、出来ればトップページへ移動 して最初からお読み頂くことをお勧め致します。
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大学の研究施設に頭巾が勤務していた現役時代の事だが、実験所OBの桐谷さんが偶に顔を見せる事が有った。
桐谷さんが有る時私に「あんな奴の下でよく我慢しているな~」と言った事がある・・・桐谷さんは頭巾より遙か年長の先輩である為か、頭巾の事を〝あいつ・あんな奴・あの馬鹿〟等々遠慮の無い呼び方をしていた。
桐谷さんの頭巾に対する評価は散々だったのではなかろうか。
「あんな変わった奴は他にいない。変な奴って言うのは時々居るが、あれほど酷い奴は例が無い。他人に迷惑を掛ける事しかしない」等々語って居られたのだが、私はその当時まだ頭巾から決定的な害を蒙っていなかった事も有り「まぁ変わってはいるけど悪い人では無いんじゃないですか」と返事をしていた。
しかし可笑しな行動や言動が多かった事は流石に否定出来なかったし、それは私が頭巾と知り合って間もない頃から判っていたのだが、大きな害が無かったので此方も寛大に見ていたわけだ。
後に頭巾の変人っぷりが目に余る様になった頃でさえ、私は頭巾を巧く制御する自信を持っていたのだ・・・頭巾が1)常識を逸脱して暴走しそうになっても、その時々に合せて最適な言葉で奴を制御するのは造作も無かったのだが、頭巾が腹の中で〝煩い奴だ、若造のクセしやがって、いつか思い知らせてやるぞ〟と言う気持ちを蓄積させる事になっていた事は、新研究所準備の頃になってから判ったのだった。
(頭巾は私と同じ方法を用いて私に言う事を聞かせようとし始めたのだが、勿論全く的外れな押し付けだった)
最終的には憎悪の念しか残らなかったが、当初は〝変な人〟と言う言葉が〝面白い人〟に摺り替わっていた。
それでも時折イラ付かされることが皆無だったわけでは無く、そう言う事はかなり多かったのだが、私は(必要があると判断した時以外)それを表に出す事をせずに20年近くを過ごしてきた。
知り合った当時はよく頭巾は私の家に遊びに来たり、自身の知人や学生を連れて来る事も多かったが、8章や9章 10章で記した様な行動は極普通の事だった。
しかし私は、この人は2)大人の皮を被った子供なのだ。目クジラ立てても仕方がないし、そんな欠点は持ってはいるが教授と言う人から尊敬される職業に就いているのだし、これからも巧く制御して行くしか無いだろうと自分を納得させていたのだ。
〝大人の皮を被った子供〟と言えば思い出しが、頭巾はよく自己紹介では「私は少年の心を持った大人」と言っていた・・・まぁ初期の頃は私も頭巾の此の言葉を引用してやってはいたが、やがて少年じゃなく糞餓鬼だなと思う様になってからは、その引用はしなくなった。
1) 常識だけではなく人の道も大きく逸していたが、頭巾は善悪の区別が付ける事が出来ない事は確かで、本
当に悪い行いをしても、全く自分のした事が理解出来ない事が多かった。しかも被害に遭った相手にズキ
ンスマイルで良い事したよと言う様な対応をするので、見ていて不愉快だった。
2)まるで幼児の様な行動も多かった。行動と言うのではないが、ある時実験所の廊下で頭巾がガラス容器ワ
ンカートンを引っ繰り返した事が有ったが、その音に私や他の人が廊下に出てみると頭巾は不自然な笑顔
のまま棒の様に突っ立っていた・・・皆で飛び散ったガラス容器を拾い集めている間も、笑顔のまま突っ
立っているだけなのだ。
また、ある時は客人が居るにも拘わらず、悲しげな声で〝アレ~、アレレレレレ~、アレ~、アレレレレ
レ~〟と延々唱えながら探し物を始めた事も有ったが、此れには流石に言葉を失った。
( 頭巾は物の管理が悪く、置き忘れ等紛失が多かった )