実際の出来事を各種架空名称に置き換えて一応時系列で進めて行きます／途中から読む人は内容が判らないと思いますので、出来ればトップページへ移動 して最初からお読み頂くことをお勧め致します。
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ある時、頭巾がラボ内で飲み物に何やら怪しげな白い粉末をスプーン数杯分投入して飲んでいた事があった。
普段から大量の砂糖を摂取している頭巾の事だから私は気にも留めなかったのだが、奴は私に「これはエンテロコッカスと言う健康に良いサプリメントです。古黍さんも飲んでみて」と言って大袋アルミパックの入った大箱を見せたのだ。
私は菌類についての知識など持ち合わせてはいなかったが、それでも良い印象は受けなかった・・・〝グラム染色すれば顔面真っ青〟とか言う冗談を思い付いたが、一応頭巾には「腸球菌じゃないですか！ そんな物が過多になれば色々面倒なことになりますよ」と注意したのだが、奴は聞く耳持たずなので、更に「エンテロって書いてあるじゃないですか、当然意味知ってますよね？ それにコッカスなんてそんなに有り難い存在じゃないと思うんですが」と畳み掛けたのだが、非常に驚いた事に頭巾はエンテロもコッカスも何かを知らなかったのだ。
勿論私も細菌に関しての知識を持ち合わせているわけもないし、警戒はした物の間違っている可能性も有ると思ったので「どうしてもそれを飲み続けたいのなら、頭巾先生は持病が色々あるんだし、様々な薬も服用されてるんだから主治医に飲み合わせ等を訊いてからにしては如何ですか」と言ってみた。
薬と菌の飲み合わせと言うのも可笑しな気がしはしたが、その様な言い方で牽制しないと頭巾は聞き入れないだろう・・・しかし頭巾はその場で主治医に電話を掛けると「乳酸飲料を貰ったが、薬と飲み合わせても大丈夫なんですか」と訊いたのだ。
傍にいてその問答が聞こえているわけだが、頭巾は肝心な部分を暈し〝乳酸飲料〟と言い替えて主治医の了解を得て仕舞ったのだ。
そんな物お伺いを立てたとは言えないだろ！ とは思ったが、頭巾にこれ以上何を言っても通用しないと思った私は〝持病を幾つも掛持ちしているのに、体調崩しても知らないぞ〟とは言わずに引き下がったのだった・・・頭巾は「此れを飲むようになってから体の調子が良くなった」などと言っていたが、実際には１）下痢を頻発させていた様で、頭巾の周囲に正露丸の空き瓶が数本転がっているのを私は見落さなかった。
と言うかそんなに大量の正露丸を短期間で消費していたと言うのも大問題なのだが・・・
更に頭巾は私にも「この製品を大量に頂いたので、古黍さんにも分けてあげますよ」と銀色の大袋二つを強引に私に押し付けて来たのだ。
止めておけと言っている本人に押し付けてどうするんだ！？ と言う気がするが、そう言う事が判らない人物なので「そんな危なげな物要りませんよ」と断っても通用する相手ではない。
机の脇に放置しておいても「折角厚意で御裾分けしてやったのに持って帰らないとは何事だ」などと言い出すだろうから、私は渋々此のゴミを持ち帰って処分させられる羽目になった。
アルミパックに貼って有るラベルも、尤もらしい事が書いてはあるが随分怪しげな気がしたし、万一この粉末に依存性の高い薬物でも混入させていたら、頭巾はこの商品を延々買い続けなければならなくなるだろう。
悪い奴が頭巾相手に儲けようと思えば、サプリメントだとか何だとか言って違法薬物を与えれば簡単に引っ掛かるだろう事は間違いないなと思った次第だ。
しかし頭巾は〝この製品を大量に頂いた〟相手の事を無料で高価な商品を大量にくれた大変良い人と言う評価をしてしまっているので、私がどんなに警告をしても無視されただけだった。
〝糞便性大腸菌〟を有り難がって飲んでいる教授って・・・あんたペッテンコーフェルの真似にさえなっていないぞと内心馬鹿にするしかなかった。
１）ただの白色粉末を飲んだのでは頭巾は下痢を頻発させなかっただろうから、実際に良く無い物が入ってい
たのだろう。
サプリメントを開発した頭巾の知人だと言う人物は、専門家ですら無かった様だが、腸球菌／糞便性大腸
菌の培地を入手して粉末化する事は出来る立場にはあった様だ。
その製品は当時も今もインターネット上では、どんなに探しても見付ける事が出来ない。
